
My Beautiful Stutter(2020)
あらすじ:
吃音があることでいじめられたり、差別を受けたりしてきた子供たちが、吃音を持つ子供たちを支援する自助団体SAY(Stuttering Association for the Young)で同じように吃音を持つ子供たちと出会う。
「全ての声(voice)は大切で、耳を傾けてもらう価値がある」という信念のもとに、子供たちに寄り添いサポートするスタッフ達や、同じ気持ちを分かち合える仲間達と関わっていくうちに子供たちの中に確かな変化が現れていく。
この作品は、周囲からの心無い対応に深く傷ついた吃音を持つ子供たちが、自助団体SAYの活動に参加していく中で受容と安心の場を得て、自信と勇気を取り戻していく様子を追ったドキュメンタリーです。
SAYでは吃音を持つ子供たちに対して様々なプログラムを行っており、2週間のサマーキャンプもその一つです。作品では、そのサマーキャンプの様子が特に長めに映されています。
キャンプでは、アスレチックやスポーツ活動に始まり、演劇や絵画、工芸といった芸術系の活動まで様々なアクティビティが用意されています。子供たちは自分の興味や関心があることを自由に選ぶことができ、からかわれたり馬鹿にされたりする心配をせずに安心して活動を楽しめるのです。
SAYの創始者であるTaro氏自身も吃音があり、5歳から26歳までの間ずっと吃音であることを周囲に隠して過ごしてきました。自分と同じような人達がいると全く知らなかったのでとても孤独だった。自分が子供だった時に欲しかった場所がSAYであると語っています。
キャンプでは一日の終わりに皆でホールに集まり、周りのみんなと共有したいことがあれば自由に発言できる機会が設けられます。最初はマイクを待ち、自分の名前を言うだけで涙があふれてしまう子供もいました。
子供たちには、子供たち自身が素晴らしい存在だと知ってほしい、吃音による恐怖に自分の人生を支配されないでほしいと、子供たちに寄り添い、子供たちの存在そのものを受容するTaro氏やスタッフ達。
キャンプ初日には不安と緊張の面持ちだった子供たちは、同じ境遇の子供たちやスタッフ達と過ごす中で共感や受容を経験し、本当の気持ちや、やりたかったことを口にできるようになり、明るい表情に変わっていきます。
キャンプの最終日の夜、子供たちは自分の叶えたい願いを紙皿に書き、小さなキャンドルをその上にのせて湖の上に浮かべていきます。子供たちの願いの数だけキャンドルの火が集まり、湖の上で揺れる映像は胸にせまるものがあります。
子供たち、スタッフ達、子供たちの親へのインタビューが時折挟まれ、作品の舞台はアメリカですが、吃音の子供たちを取り巻く状況や親の気持ち、関わる支援者たちの思いなどを知ることができる、多様な視点を与えてくれる作品です。
(参考文献)
My beautiful Stutter.”My Beautiful Stutter.”https://www.mybeautifulstutter.com.
About SAY.”SAY The Stuttering Association for the Young.”https://www.say.org.